ジョージア逗留、生活資金の補充時期に入る。街中の両替商を見ると、ドルに対してもユーロに対してもジョージア・ラリは結構強いまま。直近1ヶ月でも1%ぐらい強くなっている感じでちょっと意外。そして、円はご存じ市場との睨み合い、ドル円161~2くらいで動きが鈍い。介入もなさそう。。もちろん円安故、GELに対しても弱い。。

銀行口座も開設したし、付き合いも長くなるかもしれんので、GELの強さの要因を探ってみる。今のところ底堅い感じもあるが、観光客が人口の2倍近く押し寄せてるってのも驚きでしかない。(実際のところちょっと陰りが見え始めてるかも。)
さて、通貨の強さには構造的な理由が積み重なっているとな。
GEL高の6つの要因
1. 経済成長率の異常な高さ
- 2026年1-2月のGDP成長率:8.4%(IMF暫定値)
- 2024〜2025年も年6-9%成長を維持
- ヨーロッパでダントツの高成長国。金利も政策金利8%と高くキャリートレードの資金流入先にもなっている
2. 経常収支の劇的改善
- 2025年の経常赤字:GDP比2.6%(2024年の5.5%から半減)
- サービス輸出(観光)、エネルギー輸入価格の低下、送金流入の3点セットで改善
- 通貨の需給が構造的に改善している
3. ロシア資金の継続流入(形を変えて)
- 2022年のウクライナ侵攻直後、大量のロシア人(推計10-15万人)と資金がジョージアに流入
- 直接送金は減ったが、中継貿易・再輸出(車、電子機器など)の形で資金流入は継続
- ロシアへの制裁抜け穴としてのジョージアが、通貨需要を作っている
4. 観光ブーム
- ジョージア観光客数:2024年に過去最高の780万人、2025年もさらに増加
- 人口370万人の国に対して観光客780万人=人口の2倍以上
- 観光収入がサービス収支を大幅黒字化 → 外貨売り/GEL買い圧力
5. 送金の底堅さ
- 海外送金がGDPの10%超(世界的にも高水準)
- 2025年Q2で9.3億ドル
- イタリア、EU、イスラエル、米国からのジョージア人労働者の送金が安定
- 送金は円やユーロを売ってGELを買う純粋な通貨需要
6. ドル自体の弱さ
- 2026年に入ってからドルインデックスは軟調
- FRBの利下げ観測と米財政懸念
- これは相対的な話で、GEL単独で強いというより「ドルが弱い中でGELは相対的に強い」という側面もある
数字で見るGELの強さ
| 通貨ペア | 現在 | 過去1年の動き |
|---|---|---|
| USD/GEL | 2.63 | GEL 3%高 |
| EUR/GEL | 約3.0 | GEL微増 |
| JPY/GEL | 100JPY≈1.62GEL | 円安の裏返しでGEL高 |
対円では特に強く見えるのは、円が弱すぎるからでもあります(ドル円160円台)。ジョージアで「物価が高い」と感じるのは、GELが強い×円が弱いのダブルパンチ。
気をつけるべきリスク要因
短期的な強さは続きそうですが、以下が崩れると調整が入ります:
- 観光の頭打ち:既に人口比で相当な水準、これ以上の伸びは難しい
- 政治リスク:EU加盟プロセス停滞、政府の親ロシア寄りシフトへの西側の反応
- ロシア中継貿易の縮小:制裁強化で再輸出ビジネスが萎むと外貨流入減
- エネルギー価格の再上昇:中東情勢次第で経常収支が再悪化
実務的な結論
今のGELは「構造的に強い」通貨で、たまたま高いわけではない。したがって:
- 「そのうち下がるだろう」と待つのは危険。むしろジワジワ強くなる可能性
- ただし急激な追加上昇も期待しづらい(NBGが介入で天井を作ってきた歴史あり)
- 必要な分は都度両替が正解。溜め込むメリットは薄い
ジョージアで「安いはずなのに高い」と感じる日本人が急増しているのは、
- 2020年:1GEL = 33円
- 2023年:1GEL = 49円
- 2024年:1GEL = 53円
- 2026年7月:1GEL ≈ 62円
6年でGELの円建て価値がほぼ倍になっています。ジョージアが「バックパッカーの楽園」だった時代はもう終わっている、というのが正直な現状。
コロナ禍にトルコから流れてくる予定だったんだけど、来ときゃよかった。。